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歩くこと


歩くことが健康に良いといっても、ただ単に歩いていても健康にはなれません。姿勢と歩き方を意識して歩かなければ、重力の影響と筋肉の偏った使い方によって、歩くほどにバランスを崩し、足首や膝、腰などをはじめ、体全体の機能を低下させてしまうおそれがあるからです。歩行運動にとって大切なことは、単に歩くことではなく、健康で、一日でも長く歩き続けることができるよう、体のバランスを意識して歩くことではないでしょうか。

人間は、四足歩行から二足歩行に進化をとげ、その結果大きな脳を得ましたが、重力に逆らうという試練からは抜け出すことはできません。地球上に住むもの全てが常に重力の影響を受け続けていることは皆さんご承知の通りですが、その重力の影響は足首から始まり、膝、股関節、腰、首、そして肩と、全身にわたります。そして、これらの影響は常に連動しています。
たとえば、足首の動きが悪くなれば単につまづきやすくなるだけでなく、膝を痛めやすくもなります。膝を伸ばすことが困難になり、骨盤が歪んだり、体全体のバランスを崩す原因になりかねません。ですから、正しく歩くことは、人間がより健康で長く生きるために重要なことだと考えています。


バランスの崩れは

単に前後だけではなく、前後左右に加えて、捻じれもあり、それぞれが複雑に絡み合っています。しかし、「足の長さが違う」といわれたことのある方は多いと思いますが、大きな障害がない限り、本人に自覚がないことが多く、鏡に映してみても、どこが長くなっているのか、気づかないことでしょう。だとしても、肩の高さが違っていたり、頸が左右に倒れているという人が多いのも事実です。人間は機械ではありませんので、多少の歪みは他の部分でカバーすることができます。だからといって、安心してはいけません。そのことが、問題を複雑にしていることもいえるのですから。

重力やバランスにばかり話がいってしまいましたが、では、どのように歩けばよいのかというと、


 1)片方の足を降り出します
  (サッカー・ボールでも蹴るかのように)

 2)振り出された足を地面に接地させます
  (この時、ドスンとしないで、踵が気持ち早く接地する感じ   で)

 3)体重移動とともに、後ろ足の踵が引き上げられ増す。
   (太股の付け根で、グゥーと身体を押し進む感覚が大事    です)

 4)後ろの足を引き上げ、1)のように降り出します



簡単(すぎるとお叱りの声も聞こえてきそうですが)に要約しましたが、この連続が歩く動作になると考えています。



街を歩いていると、踵からドスンと着地している方がいますが、勢いを殺しているようにしか見えません(坂道を降りるときなどには良いのでしょうが)。足首や膝に負担をかけてもいるようです。同じように、後ろ足のつま先で必要以上に蹴るようにして歩いている方もいらっしゃいますが、今回のテーマであるバランス歩行の観点からみてみると、あまりお勧めできません。着地から、足が離れるまでの間、膝が機能していれば、自然に足首は使われ、なめらかな動きになると思うからです。
以前、カール・ルイス(だと思うのですが?)が走るとき、蹴るのではなく、ただ足を前に運んでいるだけ(ターン・オーバーといっていたように思います)だといっていましたが、歩くことも同じだと思います。勢いをつけるのでも殺すのでもなく、前に行こうとする体を足が運んでいるだけなのです。無理な力も、何もいらないのです。強いていえば、しっかりと体重を足に乗せ、踵から親指へ移動させるということでしょうか。胸を張ってとか、顎を引いてとか、いわれることもあるようですが、力が入ったり、姿勢を崩すことに繋がるようであれば、あまり良くないでしょう。背中が丸まっているのはいけませんが、そういう方は仙骨を立てると、安定して前に進みやすくなると思いますので、試してみてください。


もう一つポイントを挙げるとすれば


「靴の中で足の指を広げるように意識しながら親指の付け根に体重を移動させる」ことです。親指の付け根への体重移動を意識することにより、小指側に体重がよってしまうことを防ぐことができます。小指側への体重移動を続けていると、足首の可動が制限されるだけでなく、膝が外に押し出される形になりやすく、O脚や膝を痛めることにも繋がりかねません。注意してください。

*2)の振り出された足を地面に接地させます。というのは、ちょっと意味が伝わりにくいかもしれませんが、振り子を思い浮かべてみてください。前方に振り上げられた足が降ろされる時、踵は下へおりると同時に、後ろ向きの力を持っているはずです。微々たる力ですが、体を前へと運ぶ力の始まりと考えると、十分なきっかけになると思います。決して、踵で踏み込むのではなく、振り下ろされるのです。わかって頂けたでしょうか。

初めのうち、歩きにくさを感じられることと思いますが、慣れてくると、疲れにくくなっていることでしょう。歩き方には、これが正解という決まった形はないと考えておりますが、それぞれにあった歩き方を模索するためのヒントになればと思います。立ち方や坐り方と同じで、歩き方にもいろいろなアプローチがあり、目的によって様々ですから、なにが正しいのかも変わってくることでしょう。私自身、日々歩き方を変えてみたりしています。今後も、違った角度から、歩き方について書いていきますので、みなさんも、歩き方を意識しながら、野や山を歩いてみませんか。

歩くことは簡単ですが、ただ単に移動するのと、しっかりと歩くことは違うと考えております。しっかりと歩くことは意外と難しいことですから、これからも、歩くことについてはちょくちょく書いていきます。


まずは、ご自宅の周りからどうぞ・・・





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